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36インチ vs 34インチ [スケールの話]

これは、先日頂いた質問に対する僕なりの答えです。

質問の内容を要約すると、
「36インチのベースでハードロックが出来るか?」という事です。
ベースのスケールとプレイする音楽ジャンル。
関係ないようで無視出来ない深いつながりがあります。


僕の意見としては、「慣れれば問題無いが、お勧めはしない」です。


スケールが長くなると、大雑把に問題が二つ出て来ます。
①1フレットが身体から遠くなり手が届きにくい。
②フレットの間隔が広くなり、ローポジションでの運指が大変。


①は、ネックを高い位置に構える事によってカバーできます。
ネックが高ければ、腕の長さを横方向に利用出来るので、
1フレットが遠くても手が届く、という事です。

具体的には、ストラップを短くして楽器自体を高くするか、
ストラップを長くして楽器が下げ、ネックを斜めに持ち上げるか、です。
ハードロックをやるなら一般的には後者ですよね?
34インチのベースを使っている人でも、
同じようなスタイルの人はたくさんいますね。


問題は②です。
ローポジションでの広いフレット間隔は、どうやっても変わりません。
ストレッチか素早いシフティングで対応するしかないのです。
つまり、親指がネックの裏に来るフォームが不可欠で、
例えばネックを握るフォームで弾いている人には、かなり厳しいと言えます。

どちらにせよ、ロックのリフ等でローポジション内を動きまくるようなプレイには、
34インチに比べると不利ですね。

2011_09_06.jpg
【写真】上は34インチのYIN-YANG(モナーク)、下は36インチのインペリアルです。

僕自身は、34インチ、34.5インチ、35インチ、36インチ、
の4種類のスケールのベースを所有していますが、
ロック系のバンドで使うのは、主に35インチのレイクランド・ジョー・オズボーン・モデルです。
リフ物が少ないという事もありますが、35インチで弾き辛いと思った事はありません。
でも、34インチに持ち替えると、やはり弾き易さを感じます。



以上のように書き連ねて来ると、スケールが短い方がよい、と言う結論に至るようですが、
では、エクストラ・ロング・スケールのメリットはどこにあるのでしょうか?



それは、ズバリ、サウンドそのものにあると思います。

具体的には、アタック、サスティーン、音程、と言ったところでしょうか。
スケールが長ければテンションが強くなり、明瞭なアタックと長いサスティーンが得られます。
ローB弦の鳴りに耳が奪われがちですが、広いフレット間隔のおかげで、
ハイポジションでの音程においても優位性があります。
高音域のメロディアスなプレイ等でも威力を発揮します。

僕が36インチのフォデラを持って行くのは、主にジャズ系のセッションです。
ソロをとる事も多いですからね。

しかし、スケールとテンションだけでそういった結果が得られるのではないので、
楽器全体を見渡す事が不可欠です。
例えば、僕のレイクランドは35インチの5弦ですが、弦を裏通しにする事により、
一層のテンション感を得ています。フラットヘッドなので、テンションガイドも重要ですね。
一方、35インチのフォデラ・エンペラーは、ブリッジは一般的なストレートなタイプで、
ヘッドにはアングルがついています。
そして、かたやアルダーボディのレイクランドに、エンペラーはアッシュ。
更にピックアップもサーキットも違います。
音は・・・当然全く違います。同じ35インチ5弦のボルトオンなのに、です。


つまり、数ある楽器を比べる時、たった一つのポイント、スケールが、とか、ボディ材が、
とか、ボディシェイプが、とかにとらわれずに、総合的に判断する事が重要なのです。
また、音の好みは十人十色です。
最終的には、その楽器そのものの音が気に入れば買えばいいし、
そうでなければ他を探すのがいいと思います。
たまたま気に入ったベースが36インチだったら慣れるしかないし、
そのベースがイマイチだったら、スケールにこだわらず、
あくまでも好きな音が出る楽器を探した方がいいのではないでしょうか?


たった一つ、選ぶ時のポイントを挙げるとするなら、
立奏した時のバランスですね。
常識ですが、ヘッド落ちするようなベースはネックを支えるだけで大変です。
それがもし36インチあったら?・・・悲惨な結果を招くのは目に見えています。

具体的にはストラップピンが12フレット近辺に来ているものが比較的安心でしょう。
もちろんお店でも立奏してチェックした方がいいですね。
バランスが悪い36インチは、たとえ音がよくてもお勧め出来ません。


以上、長々と述べてきましたが、
もしプレイヤーが、2インチのスケールの違いなど関係ないほどの、
長い腕と長い指の持ち主であれば、こんな事は多分取るに足らない事だと思います。

身長190cm(?)のスタンリー・クラークが、
ショート・スケールのアレンビックを弾いているのは、
もはや反則としか言いようがありません(笑)


最後になりますが、楽器選びを楽しんで下さい。
そして、失敗を過度に恐れないで下さい。そこから得られる情報もまた貴重です。

僕自身は、自分の欲求を満たすには36インチでシングルカッタウェイが絶対条件、
と思っていますが、以前同じサウンドを35インチで実現しようとして失敗した経験があります。
また、色んな現場があるので色んな楽器が必要でもあります。
必要に応じて楽器を物色していった結果、スケールだけでも前述した4種類、
更に4弦、5弦、6弦とありますので、弦のストックが大変です。
でも、弾いていて気持ち良ければ、そんな事どうでもいい事なのです。


ベーシストに幸運あれ!!!

ホームページのGalleryに僕の愛器達がありますので、ご覧下さい。


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コメント 2

こん

お忙しい中貴重な情報を丁寧に教えて下さり、ありがとうございました。

自分に合わなかったら全て台無しですよね。
言われた通り、今使ってる35インチスペクター五弦がヘッド落ちしまくってまして、正直もう使いたくなくなります(笑)

分かりました!
偏った性能にこだわらないベース選びを心掛けます。

今のままではまた相談する機会がありそうなので(汗)、煩わしいかもしれないですがその時は宜しくお願いしますm(_ _)m[あせあせ(飛び散る汗)]
ありがとうございました!
自分だけのベース道を模索しますっ
by こん (2011-09-06 20:39) 

hi-watt

こんさん、こんばんは!

僕の経験が少しでも参考になれば幸いです。
今後もお気軽にご質問下さい!






by hi-watt (2011-09-06 22:15) 

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